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北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の海外反探局(スパイ担当部署)の幹部が脱北していたことが明らかになった。報告を受けた金正恩党委員長は、殺害命令を下した。

北朝鮮事情に精通した現地情報筋がデイリーNKに語ったところによると、この人物は50代後半の康(カン)大佐。海外反探局の三頭馬車(ビッグ3)と呼ばれる大物で、中国瀋陽にあった北朝鮮系の七宝山(チルボサン)ホテル(現在は中富国際ホテル)に事務所を構え、中国、ロシア、東南アジアで活動する反探局の要員を指揮していた総責任者だ。

中国やロシアから入手したすべての情報を吟味し裏取りを行わせたり、核やミサイル開発に必要な人材育成のために、中国やロシアと北朝鮮をつないだりする活動も行っていた。

大佐が忽然と姿を消したのは今年2月25日のことだ。偽ドル札印刷用の活字版と、相当額の外貨を所持していた。

事件の報告を受けた金正恩氏はすぐに「除去せよ」との命令を下した。つまり、殺害せよということだ。当局は暗殺訓練を受けた要員7人を派遣したが、成果を挙げられなかったため、さらに3人を派遣した。

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当局は現在も大佐の行方を追っているが、発見には至っていない模様だ。情報筋は大佐が英国やフランスにいるものと見ている。当局は、ヨーロッパに亡命を申請し、受け入れられることを事前に阻止するために全力を上げているようだ。

大佐は金日成主席の母、康盤石(カン・バンソク)の父、康敦煜(カン・ドヌク)の子孫、つまり金正恩氏と同じ曽祖父を持つ「白頭の血統」に連なる人物だ。金王朝の一員とも言うべき人物の脱北で、金正恩氏が受けた衝撃は相当なものだったろう。

金王朝からは過去に、李一男(リ・イルナム)氏が脱北している。金正日総書記の妻の成蕙琳(ソン・ヘリム)氏の姉・成蕙琅(ソン・ヘラン)氏の息子で、昨年マレーシアで殺害された金正男(キム・ジョンナム)氏の従兄にあたる。1982年に韓国に亡命後、李韓永(イ・ハニョン)と改名して暮らしていたが、1997年にソウル郊外の自宅で北朝鮮が派遣した工作員に殺害された。

(参考記事:「喜び組」を暴露され激怒 「身内殺し」に手を染めた北朝鮮の独裁者

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また、大佐が海外情報の分析を行ってきた人物であるため、相当の国家機密を握っていることは想像に難くない。

大佐の脱北動機について情報筋は、不正行為の発覚を挙げた。

当局は、北朝鮮に住む大佐の息子を韓国と米国の映画の視聴容疑で摘発し、家宅捜索を行ったが、その過程で大佐が海外で不正蓄財を行っていることを示す帳簿を発見した。これを受けて大佐に召喚状を出したが、危機を察知した大佐は家族を北朝鮮に残したまま脱北したというものだ。

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ただ、家宅捜索を行ったのは韓流などの取り締まりを行う109常務という部署であることを考えると、一連の摘発は、韓流を口実に別の犯罪を摘発するために当局が仕組んだものである可能性がある。109常務が、白頭血統の一員による不正蓄財の摘発を行う権限があったのかということだ。

家族を連れ出せなかった理由について情報筋は、テ・ヨンホ公使の脱北後は海外赴任に家族を連れていけなくなった点を挙げた。