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先月26日に行われた中朝首脳会談を契機に、完全停止に近い状態となっている北朝鮮の対外輸出の再開の兆しが観測されている中、北朝鮮当局は朝鮮労働党中央委員会(中央党)所属の貿易会社に対して、石炭の中国への輸出を再開するよう指示を下したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

中国の丹東在住の北朝鮮貿易関係者は、中朝首脳会談の席で石炭輸出の再開が議題に上がったと伝え、その後に石炭100万トンを輸出せよとの指示が下されたとも伝えた。ただ、実際に再開されるのは6月からになるだろうと、この関係者は見ている。(関連記事:北朝鮮の貿易会社、石炭の対中輸出再開の動き

米国のトランプ大統領は9日、自身のTwitterで米朝首脳会談の開催時期について「5月または6月初旬」と述べたが、北朝鮮はその場で経済制裁が緩和されると見越して、輸出再開の準備を進めているようだ。

中国商務省は、国連安保理の制裁決議2371号を受けて北朝鮮産の鉄、鉄鉱石などの輸入を禁止する措置を取っている。仮に中朝首脳会談の場で石炭貿易の再開が合意されていたとしても、中国も国際社会の目を気にして、あまりあからさまに輸入することはできないだろう。やはり、本格的な再開は米朝首脳会談になると北朝鮮は見ているものと思われる。

デイリーNKは先月中旬、中国の対北朝鮮筋の話として、朝鮮労働党系の朝鮮金剛貿易総会社、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)系の貿易会社などが、石炭輸出の再開に向けて準備に着手し、炭鉱で使うベルトコンベア用のベルト数千メートル、ヘルメット数百個、カンテラを中国の遼寧省から大量に輸入したと報じたが、RFAの平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋もこのことを確認した。

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また、中朝両国が石炭輸出量を増やすことで合意したかはわからないとしつつ、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)や政府系の貿易会社にも輸出許可が与えられるとの噂が出回っていると付け加えた。すでに各貿易会社の間では、輸出割り当ての争奪戦が起きているとのことだ。

一方で情報筋は「石炭輸出再開は喜ばしいことだが、輸出で得られた外貨が人民生活向上に使われるかは疑問だ」と述べ、「万が一、再び核やミサイルの開発に使おうとするならば、『苦難の行軍』(1990年代の大飢饉)に匹敵する最悪の状況となりえる」と警告した。

また、石炭の輸出再開は別の面でも北朝鮮国民の暮らしに悪影響を及ぼす可能性が高い。輸出ができなくなった石炭が国内の発電所に回されたおかげで、電力供給が比較的安定しているが、輸出が再開されれば元の木阿弥になるからだ。