「自首した場合、少量の所有なら許してもらえるが、1キロ以上を所有していれば、原料の出処、売人の名前などを厳しく追及される」(情報筋)
原料は国営工場で作られたもので、売人の背後には、様々な権限を握る実力者がいるのが常だ。例えば上述の会寧では、市の女性同盟委員長一家が薬物組織を運営していた。
つまり自首すれば、権力者の不正行為を告発することになり、どのような意趣返しを受けるかわからない。
結局、取り締まりに遭うのは庶民だけだ。
「国家保衛省の取り締まりチームが咸興市内のアパートの家宅捜索に乗り出した。50戸をランダムに家宅捜索し、たった0.2グラムしか持っていなかった人も捕まえて行った」(情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面市民の間からは「先に幹部から捕まえろ」という不満の声が上がっているが、その声は、当局の責任者には届きそうにない。
(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。