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「朝鮮高校」に対する「無償化適用」が「先送り」になった。

文部科学省は、8月31日に朝鮮学校の教育内容が「無償化に問題はない」との結論を出したが、政府は結論を「先送り」にして正式決定は9月以降にずれ込んだ。

9月からの無償化適用はなくなったが、あくまでも「先送り」であり政府がどのような正式決定を下すのかはまだ見えて来ない。なによりも今回の文科省の発表によると朝鮮学校の教育内容が「高校に類する教育」という内容であり、デイリーNKが指摘してきた「朝鮮学校の教育内容」、つまり「北朝鮮を賛美する教育」や「思想教育」に関する議論はまったく進んでいないようだ。

一方、無償化を要求してきた朝鮮総連にとって今回の「先送り」はどのように捉えられているのか測りかねるが、8月以降の朝鮮総連の無償化への動きを見ると、相当ショックであることは十分に伺える。

8月はじめ、「無償化に問題はないとの結論が8月中に文科省から出る嵐閨vとの報道が流れるやいなや、朝鮮総連は即座に反応し全国の関連団体に「無償化要求行動」を強めるよう指示が下されたという内部情報がある。

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弱体化が進む朝鮮総連にとって組織の背骨である「朝鮮学校」の無償化はなんとしてでも勝ち取りたい課題だ。同時に、この時期に「高校無償化」を勝ち取る事は大きな意味がある。

それは今話題になっている「金ジョンウン後継事業」との関連だ。

党代表者会を目前に控えて様々な憶測を呼んでいる「後継者問題」と「朝鮮学校無償化問題」。関係のないように見えるこの二つの「点」が実は奇妙な「線」でつながる。それを匂わす記事が7月26日付けの「朝鮮新報朝鮮語版」に掲載された。

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記事によると7月16日に「総連本部委員長、主要団体・事業体責任者会議」が開催され4項目の「重点活動事項」が決定された。

具体的な内容は『民族教育事業』『11月の「同胞青年祝典」』『「同胞再発掘運動」の本格化』『「高校無償化」の勝利』の4項目でる。

この4項目の中に『民族教育事業』『「高校無償化」の勝利』と「教育」に関する事業が二つも入っていることから朝鮮総連の「無償化成立」への並々ならぬ決意が見て取れる。

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最も注目すべきは「決定事項の全般」という項目で「本年度事業目標を10月までに達成する」と決定したことだ。許宗萬責任副議長は報告文の中で繰り返し「今年度の事業目標を10月までに必ず達成し(後略)」と力説している。

さらに8月2日付けの「朝鮮新報朝鮮語版」によると「総連東京都本部活動家会議」が7月27日に開催され「総連本部委員長、主要団体・事業体責任者会議」で決定された4項目事業を「新たな全盛期創造3ヶ月運動」との名称で繰り広げるとの決定がなされた。

この中では「9月に開催される党代表者会議と10月の党創立65周年に向けて(中略)10月までに嵐閧?Jり上げて解決する」と書かれている。

なぜ7月の時点で、10月までの短い期間の中で「事業達成の前倒し」を決定したのか。その裏には「党代表者会議」もさることながら、やはり「金ジョンウン後継体制」に向けた成果作りがあると考えても不思議ではない。

このことから「高校無償化」さえも「後継事業」への成果作りに利用しようとする朝鮮総連の意図がみられる。

仮に「高校無償化」が成立したとすると、成果としては「目に見える形の成果」であり日本社会に対する影響力もある。朝鮮総連と金正日政権にとっては、日本政府と日本社会が「金父子と北朝鮮体制を賛美する教育を公認した」という意味と捉えるだろう。
そして朝鮮総連では「後継事業」という国の偉業を大きな成果で迎える事になる。

しかし、今回の「先送り」で朝鮮総連の目論見に狂いが生じた。また、この間要求運動にかり出された一般同胞や総連を支持する日本人の中からは「もう無償化は無理ではないか」という諦めにも似た「敗北感」に包まれることも予想される。

タイムリミットは10月。奇妙な「線」で繋がった「後継事業」と「高校無償化」が今度どのように動くのか注目だ。