今月24日-25日、1泊2日の日程で百領島(ぺクリョン島)へ訪れた。

今回私は『北朝鮮人権青年学生連帯』という団体が進行する『百領島安保キャンプ』に韓国人大学生らとともに参加した。百領島は豊かな自然と文化遺産に恵まれた非常に美しい島である。しかし一方で、韓国最北端に位置する島であり、最北端地から北朝鮮まではわずか13.1kmだ。島には数多くの軍人が常に北朝鮮と対峙しており、韓国にとって重要な軍事要衝地でもある。また、今年3月に起きた天安艦沈没事件現場のすぐ近くということもあって、NNL付近では事件後さらに緊張が高まっている。

ところで、我々日本人にとって『北朝鮮』というと地理的には近いが、政治的経済的に結びつきが薄いためなのか、どこか遠くに感じられがちである。私にも少しそのような感覚があった。だが、今回のプログラムを通し、南北朝鮮の緊張状態や韓国の置かれている状況を実際に見て体験し、北朝鮮問題や国家安保に対してより一層の関心を持つようになった。

24日朝、仁川(インチョン)港から船に乗り、約4時間半かけて百領島に到着した。到着してまず驚いたのが軍人の多さであった。

昼過ぎに到着し昼食後、軍人らから百領島での訓練や現在の緊張状況など、模型図を用いて細かく説明を受けた。その間、訓練中なのか外で爆発音のような音が継続して響いており、緊張状態にあることを身をもって体験できた。

次に遊覧船に乗り、観光名所である『兄弟岩石』などを見学した。その途中、天安艦事件の現場の海域にも通りがかり、事件当時の状況やその後についても説明を受けた。天安艦事件後、警戒海域であるこの場所を現・李大統領も異例に訪問したという。沈没海域を通りすぎるときは何か重々しい雰囲気が感じられた。

宿泊所に帰り、夕食後3時間にも及ぶ『講義』があった。講義内容は朝鮮半島の統一・安保についてであった。講義を進行したハン教授は、現在の朝鮮半島情勢の概要について話した後、統一・安保に対する重要な基本的考え方について公言した。まず統一については、「統一とは、箔ョ的に行うもので、お互いが常に共同体意識を持たなければならない」とした。また、安保の概念については「安保は万一、北朝鮮の攻撃を受けた場合など、他国の攻撃による国民の危険を守るためにも必要だ」とした。

そしてこの様な考えに一貫して重要なことは「まずどのように統一・安保するのかではなく、why= なぜ統一しなければならないのか、なぜ安保が重要なのかを考えることだ」と最後にまとめた。改めて半島の現状を知るとともに、韓国側の北朝鮮の対する見解をも少しではあるが理解できたようだった。また、統一に対する教授の熱意が非常に感じ取れる講義であった。

2日目、北朝鮮までわずか17kmのところにある展望台へ行った。その場所は海の向こう(向こう側ははっきりと見える程近い)がすべて北朝鮮である。数字で○○Kmと聞くと距離感もあまりピンとこないのだが、実際に見えるとやはり違った印象を受けた。そこは天安艦事件の追悼場所のようでもあり、皆揃って黙祷した。その後、シンチョンガ(韓国の神話の一つであるシンチョン女に関わる建物)へ行き、神話についての説明を受けた。ところでこの神話では、目の見えない父のためにシンチョン女が海へ身を投げるのだが、その飛び込んだとされる場所がシンチョンガから見えるのである。

その場所は百領島からすぐの北朝鮮側にあるという。私はこの神話についてこの場所へ訪れる前から知っていたのだが、韓国神話として理解していた(北朝鮮をまた違う国と考えていたからだ)。ただ、北朝鮮・韓国2つの国家になってまだ60年しか過ぎていない。神話は古代からずっと言い伝えられてきたもので、当然北朝鮮の人民たちも知っているであろう。私はシンチョンガという場所で、ただ神話について学んだだけでなく、改めて北朝鮮と韓国が同じ民族であり、なぜこの現状になったのか、朝鮮半島分断の歴史についても考えさせられた。

その後観光地など数ヶ所をめぐり、昼13時の船に乗り百領島を後にした。

百領島という場所は韓国人でもそれほど多くは訪れない場所だという。ならば日本人ではもっとその数は少ないだろう。ここ百領島は、美しい自然を感じながらも、緊迫した軍事訓練、自分の目で見ることのできる北朝鮮、そしてそこから考える朝鮮半島情勢、安保問題など、実に多くの事をを学び、体験できる場所である。このプログラムを通して、私は北朝鮮という国がグッと近くに感じられるようになり、そしてもっと多くの国民が北朝鮮へ関心を持つべきであると感じた。

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