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北朝鮮の戦闘機の中国遼寧省撫順に墜落した事件で、『操縦士の本当に目的』にスポットが当てられている。

操縦士死亡の真相は北朝鮮が握っているわけだが、公式発浮などはあるはずも無く、永久のミステリーとなるだろう。しかし、最近の北朝鮮社会の体制の弛緩速度を考慮すると、戦闘機の操縦士までもが脱北を試みる可能性は十分に有り得る。

北朝鮮で『飛行士』という職は、潜水艦の乗務補助員、ミサイル部隊勤務と共に最高の待遇を受ける。彼らは社会で殺人を犯したとしても、部隊に復帰すれば憲兵隊ですら逮捕できないほどの強大な権力を持っている。

軍役を控えた中学校の卒業生が最も好む兵種が『中央党5』の次が飛行士だ。選抜基準の最初のハードルが『出身成分』だ。

80年代までは一般労働者の子供でも、学業と体力が優秀ならば飛行士になる事ができた。家族や親戚の中に政治的な汚点がある場合は不可能ではあった。家族の中に朝鮮戦争時に韓国側に付いた人や行方不明者がいればやはり除外される。

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この当時、飛行士は『危険な職業』と認識され、幹部層の子供からは人気が無かった。しかし、90年代に経済難が発生し、最高の待遇を保障する飛行士に対する見解が変わった。人民武力部、国家安全保衛部、人民保安部などの権力機関幹部の子供たちが大挙として飛行士の道を選択した。

現在も北朝鮮では、飛行士に対する特別待遇が伝えられているが、内容的には一般の中産階級の水準に過ぎない。商売をしている党幹部、権力を握っている司法機関の幹部と比較すると、飛行士が感じる『剥奪感』が過去よりも増加している。

外貨稼ぎと市場での商売を通じて富と権力を育てている間に、飛行士は相変らず国家の供給を待ち続けている。幹部らは豚の頭等の食品に見向きもしないが、飛行士は家族の為に国家の供給物資を市場で売って生きていっている。

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90年代初頭までは、飛行士に与えられる『4号供給物資』は100%無料であった。家族への無料供給と共に、必要によって有料で供給された。また、操縦士が家庭に対する心配による訓練時の事故を防ぐ為に、育児問題や家庭の問題を優先的に解決出来るように配慮がされ、家族の為に月1で商品の供給がなされた。

90年代末の『苦難の行軍』時期にも、飛行士の家族には正常な食糧配給がなされた。しかし、社会の雰囲気と環境が変化したため、ストレスが蓄積している。飛行士の子供は学校でもターゲットになる。教員は上級からの様々な事業に対する指示が下される度に飛行士の子供を指名する。

教員は「君たちは国家から特別な供給を受けているので、他の子よりも学校の事業に積極的に参加しなければならない」と話す。子供を学校に任せている両親としては、泣く泣く支援を行うしか無い状況だ。

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空軍部隊は比較的に石炭の供給が行なわれているが、絶対的な量が不足しており自主的に燃料を準備しなければならない。90年代初頭はタバコ1〜2箱やダイズ油、ビールなどと周辺の農場や山林監視員が燃料と交換していた。今ではこの程度では到底不可能な話だ。

飛行士の妻も『生活戦線』に出向かなければならない。妻は供給された物資を卸売業者や近隣の農村に売っり歩く。食糧、タバコ、豆、粉砂糖、油、ビールまで全てを市場で売り生計を維持する。

飛行士の家族への供給は部隊の軍人商店を通じて供給され、物資が商店に到着後、一番最初に連隊長と保衛部長、政治部長などが持っていく。

商店責任者はこの物資を人脈形成目的で流用する。部隊の物資倉庫も有事の際の戦闘を行なう飛行士の為に存在しているのではなく、幹部のための倉庫に変質している。

国家から一切の配給も無い労働者と比べると特級水準ではあるが、他の幹部のように商売や賄賂を受け取るだけの権力が無く、実際の生活水準も市場で家電製品を販売する商人と大差が無い。

また、家庭環境の違いも著しい。両親に権力があれば良いが、無い場合には国家の配給だけを頼りに生きていくしか無い。

また、飛行士の最大のストレスは『老後』だ。現職と退職後では処遇が天と地の差があるからだ。

90年代までは飛行士を国宝と称賛し、引退後の責任を負うと宣伝していたが、2000年代以降は分野を問わずリタイア組は徹底的に見捨てられた。現行法で定められた国家年金は、とうもろこし1キロを買う事も出来ない。

諸外国では老年層よりも青年層が国家に対する不満が多いのが、北朝鮮では老年層が国家に対する不満が多い。リタイア後には小作農や市場で商売をする必要が発生するが、軍退役者は市場での経験も不足し農作業も不慣れだ。現職がこの様な未来を不安がらないはずが無い。

過去には最高待遇であった飛行士が、ミグ機で脱北を試みるということは別に珍しい事でもない時代になってしまった。