また、金正日が今回の党代表者会でキム・ジョンウンを直ちに常務委員会に推薦することも可能だろう。そして『金正日、(金英春)、呉克列、張成沢、キム・ジョンウン』らが常務委を構成するだろう。この確率は半々ではないかと思う。
筆者が注目している大きな課題がこの部分だ。まだ仮説に過ぎないが、もしそうなる場合、キム・ジョンウンの将来はどうなるだろうか? 果たして後継体制をソフトランディングできるのだろうか。
金正日は党代表者会を開き、現在の軍に過度に依存した統治の軸を党中心に移そうという考えただろう。キム・ジョンウンは軍を知らない為、軍を掌握しにくいであろうし、党組織を通じた軍を統制する体制、言い換えれば金正日自身が党組織指導部長として軍を統制する方式で党と軍の関係を保つ考えだろう。
また、死亡する以前に下準備をしておかなければ、軍がキム・ジョンウンに銃口を突きつける最悪の事態をすることができると考えているのだろう。今後、北朝鮮内部事情によりキム・ジョンウンが権力の座から引き落とされる事態が発生するとすれば、その『内部事情』は軍による物理的な力の可能性が最も高く、金正日も軍が体制を死守する最後の物質的な力であるという事実をよく知っている。
こうした事情を理解すれば、党代表者会を開催する理由が少し鮮明に見える。さらにこのような『後継作業』を行なう間は、邪魔をする外部勢力を事前に遮断しなければならず、『敵』の関心を分散させる必要があり、天安艦事件などを企画するのだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面今回の党代表者会でキム・ジョンウンが政治局(常務)委員、組織指導部長となり、対内外的に後継者として確定するが、果たしてこれから後継者として順調に歩んで行く事ができるだろうか?筆者は時間が過ぎれば、難しさが増すと考える。さらに金正日は北朝鮮権力で重要な軸であったパルチザン元老らとも親しかったが、キム・ジョンウンは党組織のエリートとの親交がまったくない。
そしてキム・ジョンウンの場合、9月の党代表者会以降の様相は、過去の(1974年2月〜1980年10月)金正日と比べ不安定な要因が非常に多い。権力の強化という側面から見ると当時の金正日が右肩上がりだったとすれば、キム・ジョンウンは下降線を鋭く描いている事が明らかだ。
それなら、我々は何を準備するべきか?
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面この『激動する朝鮮半島情勢』シリーズの最後に、『大韓民国の対北戦略の戦線を北朝鮮内部に移す方案』について述べようと思う。
『対北戦略戦線を北朝鮮内部に移す』とはどういう意味か?
南北関係は朝鮮戦争勃発時から北の挑発に対し、韓国は防御する一方であった。最近の天安艦事件もそうだ。韓国の意味のある対北先制の提案もあったが、全体的に北朝鮮が攻勢、韓国は守勢であった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、北朝鮮は対南戦略の戦線を韓国内部に移し、韓国の内部で南北間の政治闘争が行なわれていた。簡単な例を挙げれば、北朝鮮は南労党、統革党を始め韓国の内部に絶えず地下党を組織したが、韓国が北朝鮮に韓国の組織を作った事例はない。今でも韓国には汎民連、進歩連帯などの親北群小組織らが少なくない。
このような南北関係の告}は、1980年代末の東ヨーロッパ、旧ヵ??ノより崩れ始め、90年代初頭のソ連、中国との国共を結ぶ事で韓国の主動的な北方開拓が成功した。これに基づいて2000年に南北首脳会談を成功させた。金正日に金を支払った対価でもあるが、とにかく首脳会談自体は『対北戦略の戦線を北朝鮮内部に移す』という観点で見る事が出来る。(続く)