米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は17日、「欧州連合(EU)が、北朝鮮に対する輸出禁止品目の範囲を大幅に拡大した」と報じた。これによって、金正恩党委員長の「密かな楽しみ」が奪われるかもしれない。

夜の奉仕も

RFAによると、EUはキャビア、ワイン、ビール、コニャックなどのアルコール類、ハンドバッグをはじめとする皮革製品、コートを含む衣類、アクセサリー、靴など22種類以上の物品を北朝鮮への輸出禁止品目に指定した。

北朝鮮は、金正恩氏を頂点とする権力層のために、主にヨーロッパから贅沢品を輸入してきた。それだけでなく、金正恩氏は「喜び組」のために、多額の金を費やして「セクシーアンダーウェア」を輸入していると英国の大衆紙であるデイリー・メールが報じたこともある。

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金正日時代にその存在が暴露された喜び組は、北朝鮮では「5課処女」とも呼ばれている。朝鮮労働党組織指導部護衛総局、通称「5課」が組織、管理していると見られているからだ。

(注)韓国語(朝鮮語)で「処女」とは、未婚女性や若い女性の総称

彼女たちに与えられた任務は指導層の身近で仕えることだ。様々な専門分野に分かれており、最高指導者である金正恩氏や、その他の幹部らのありとあらゆる世話をする。なかには、特別な夜の奉仕を専門とする「木蘭組」という集団も存在するという証言もある。

(参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖

金正恩氏をはじめ指導層の「密かな楽しみ」のためでもあり、そして外部には絶対に知られてはいけない任務を持つ謎のセクションだけに、多額の金を投じているのだろう。

EUの措置は今にはじまったわけではないが、中長期的に金正恩氏の個人的な楽しみさえ奪う可能性がある。

「走り屋」金正恩氏

RFAによると、EUは家電やデジタルカメラなどにも上限を設けたうえに、バス、飛行機、オートバイなどの輸送手段の価格上限を1万ユーロ(約132万円)と定めた。こうした贅沢品が、一般庶民の生活にダメージを与えるわけではない。

しかし、車好きと知られる金正恩氏は心中穏やかではないだろう。金正恩氏は、日頃のストレスを発散させるためか、夜中にこっそり専用ベンツに乗って平壌市内をドライブしているという噂があるからだ。

(参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

以前から、ベンツに限らず海外の高級車は、輸出禁止品目に指定されている。北朝鮮のことだから裏で入手できるルートを確保しているだろう。さらに、金正恩氏が現在ハンドルを握っている愛車を取り上げる術もない。

とはいえ今後、金正恩氏は気に入った新車が登場したことを知っても、たやすくゲットできなくなるわけだ。

金正恩氏は、高速道路で運転中に自らの愛車を追い越した軍人を処罰したというエピソードがあるほど、ドライブ好きと知られている。中長期的な視点で見れば、EUの措置は、独裁者としてやりたい放題の金正恩氏にお灸を据える形になる。

(参考記事: 北朝鮮の「喜び組」に新証言…韓国テレビ「最高指導層の夜の奉仕は木蘭組」

高英起(コウ・ヨンギ)

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1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記