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一部では改善の兆しを見せていた北朝鮮の深刻な電力不足。ところが、少雨のため水力発電所があまり稼働できず電気が足りない上に、制裁の強化により、火力発電に必要な原油の供給量が減ることが予想されている。それにもかかわらず、無駄としか言えない事業で電気を浪費している有様だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、道内の各ダムでは農業用水の確保のため、放水量が減らされ、発電量も減少。電力不足に拍車をかけている。

それに加えて、5月の朝鮮労働党第7回大会に向けて、成果を作り出すための「70日戦闘」が始まったことも、電力不足のさらなる悪化の一因だ。

各工場には生産量を増やせとの指示が下されたが、軌を一にして、民家への送電を中断し、電気は工場や企業所に回せとの指示が、2月末に内閣の電気工業省から下された。これに伴い、民家はもちろん、学校への電気供給も止められてしまった。

国の重要施設である、労働党の委員会、人民委員会(市役所)、新聞社、人民病院、軍の施設への送電は続けられているが、以前の半分ほどに減らされた。

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さらに冬の渇水期を乗り切るためにフル稼働していた火力発電所は5月からメンテナンスに入る予定だ。しかし、ただでさえ降水量の少ない地域なのに、今年の冬はさらに雪の量が少なく、水力発電がまともに稼働できるのは夏以降になると思われる。

咸鏡北道の西隣、両江道(リャンガンド)の状況はさらに深刻だ。

渇水と「70日戦闘」の悪影響で電気が止まっているのは両江道(リャンガンド)でも同じだ。しかし、ここではさらに状況が悪い。一部の農村では、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」から今に至るまで、一切電気が供給されていないというのだ。

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それは当局が「稲作にはポンプや脱穀機など電気が必要だが、両江道では気候的に稲作はできず、ジャガイモ、トウモロコシを栽培しているため電気は要らない」という理由を挙げて、90年代終わりごろから農村地域への電気の供給を完全に止めてしまったからだ。

送電設備は放置され、盗まれてしまった。変圧器にはアルミニウム、電線には銅や鉄が使われているからだ。盗まれなかったものもとても使える状態ではない。電力事情が改善したとしても、送電設備を復旧しなければならないため、電気が使えるような状態になるのは遙か先のことになるだろう。

北朝鮮、太陽光発電などの自然エネルギーの導入を国をあげて推進している。中国から送電設備を大量に輸入して、電力不足の解消を図ろうとしているが、今回の制裁強化で少なからぬ影響を与えることが予想される。