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北朝鮮の人権状況を調査している国連のマルズキ・ダルスマン特別報告者は16日、スイスのジュネーブ国連人権理事会の会合で「拉致と強制失踪」の問題などの解決に向けて国際社会の多角的な取り組みを強化すべきだと主張した。

昨年12月、「北朝鮮人権決議案」が国連総会に提出された。北朝鮮側は提出に先立って「人権蹂躙責任者の処罰条項などを削除する条件」としてダルスマン氏の訪朝を呼びかけたが、実現しなかった。

ダルスマン氏はこの日、第28回国連人権理事会の会議に出席し、「昨年に提出された「国連北朝鮮人権調査委員会(COI)」レポートは、1950年代以後、韓国、日本、中国、レバノン、マレーシア、ルーマニア、タイから子供を含めて20万人以上(※注)の外国人が北朝鮮に拉致されたと推定されたとしている」と指摘した。

さらに、北朝鮮が脱北者申東赫(シン・ドンヒョク)氏の証言に一部誤りがあったことを取り上げて、反論を展開していることについては以下のように述べた。

「脱北者申東赫氏のいくつかの証言修正は、直接インタビューをした80人のうちの1つに過ぎない。彼以外にも240人の証言を確保しており、COI報告書の膨大な証拠を変えることはない」

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今後は、韓国のソウルに新たに設立される北朝鮮の人権問題を調査する機関の活動などを通して、問題の解決に向けて圧力をかけ続ける考えを示した。

さらに、アメリカ国務省のロバート・キング北朝鮮人権特使も、国際社会が北朝鮮の人権問題に国際社会が関心をもつべきと主張した。

「アメリカは、国際社会と緊密に協力して北朝鮮で継続強行される残酷な人権蹂躙について、国際社会が持続的な関心を持つべきようにすべきだ。そして人権侵害に対して、責任を問えるようにすることを明確に約束する」

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北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)外相は、国連人権理事会に出席し、北朝鮮人権決議案に強く反発していたが、各国の代表からは拉致問題をはじめとした人権侵害を懸念する声が相次いでいる。(関連記事

会議のあと、ダルスマン特別報告者は記者会見を開き、拉致問題に関するシンポジウムを年内に、来年には国際会議の開催を通じて、国際的な関心を高めていく計画を明らかにしている。

(※)20万人の拉致被害者について
日本では、一般的に「北朝鮮の拉致」といえば「日本人拉致被害者問題」を指すが、国連の人権報告書では以下のように広い範囲で既定している。

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外国からの拉致及び強制失踪
拉致及び強制失踪の大部分が、朝鮮戦争及び 1959 年に始まった在日朝鮮人の帰還事業 に関連している。ただし 1960?1980 年代に、韓国や日本、他の国々の数百人の人々も 拉致及び強制失踪させられている。さらに近年では、北朝鮮は中国から多数の自国民 と韓国人を拉致した。
(「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)最終報告書」より抜粋)

20万人という数字のなかで、最も多いのは1950年に日本から北朝鮮へわたった約10万人の在日朝鮮人帰国者とその家族。続いて、朝鮮戦中に、北朝鮮へ連行された韓国人の国軍捕虜や離散家族、そして、日本、中国、レバノン、マレーシア、ルーマニア、タイなどから拉致された「拉致被害者」が含まれる。

韓国ソウルで記者会見をするマルキズ・ダルスマン氏(参考写真)
2011年、訪韓して北朝鮮人権問題について記者会見をするマルキズ・ダルスマン氏(参考写真)/撮影:キム・ボンソプ記者