イスラエル国防軍(IDF)は18日、イラン北部のカスピ海沿岸にあるアンザリ海軍基地を空爆し、イラン海軍の最新鋭駆逐艦「デイラマーン」を撃破したと発表した。同艦はイランが自国技術の粋を集めた「イラン版イージス艦」として鳴り物入りで配備した主力艦だったが、実戦ではその防空能力を発揮することなく無力化された。

デイラマーンは2023年11月に就役したばかりのモーウジュ型駆逐艦の5番艦。イラン当局は同艦を「自給自足の象徴」と位置づけ、米軍のイージス艦に匹敵する多標的同時対処能力を持つと主張してきた。

最大の特徴とされたのは、艦橋の四方に固定配置された国産フェーズドアレイレーダー「イーグル・アイ」だ。イラン側は「半径200キロ以内の航空機やミサイルなど100以上の目標を同時探知できる」と豪語し、カスピ海における絶対的な防空権を確立したと強調していた。しかし、今回の攻撃ではイスラエル軍の接近を許し、反撃の機会すら得られないまま沈黙した。

こうした成り行きは、北朝鮮の金正恩総書記にとって他人ごとではない。

北朝鮮は近年、海軍力の増強に心血を注いできた。中でも、すでに2隻が進水した5000トン級駆逐艦と建造中の戦略原子力潜水艦はその象徴と言える。前者は2番艦が進水時の事故で横倒しになって一部浸水し(その後復旧と主張)、戦略原潜も設計バランスの悪さが指摘されていて、水中でひっくり返ってしまう可能性が指摘されている。

(参考記事:【写真】「ひっくり返るしかない」金正恩”戦略原潜”の異形の姿

それでも、両者とも核ミサイルの搭載が確実視されており、米韓軍や日本にとっても危険な存在になり得るものだ。

ただ、水中に潜む潜水艦はまだしも、巨体を水上にさらす艦艇は空からの攻撃に脆弱なものだ。米国のイージスシステム級の備えがあるならいざ知らず、中国とロシアの技術を導入していたイランの防空網が米・イスラエルの攻撃にまったく無力だったことを考えれば、技術的に同系統と見られる北朝鮮のそれも機能するかは心もとなかろう。

しかも、北朝鮮の駆逐艦はどうやら対地攻撃に重きを置いているようで、防空装備はイランのデイラマーンと同等かそれ以下の可能性もある。人命軽視で悪名高い北朝鮮は有事に際し、「海軍艦艇は米韓軍に沈められる前に1回、核ミサイルを一斉発射できれば良い」ぐらいに考えている可能性もあるが、それすら危ういのが現状ではないだろうか。