タイ陸軍が運用する中国製主力戦車「VT-4(MBT-3000)」 に対して、隊員や装甲部隊からの不満が噴出している。カンボジア国境での実戦行動で砲身の破損や機械トラブルが相次いだ ほか、エンジン・電子系の信頼性や砲塔の取り回し性能に関する不満が内部で強まっており、「旧式の米国製戦車の方がまだマシだ」との辛辣な声まで出ている。仏軍事メディア「ワールドタンクニュース」が報じた。

砲身破裂、エンジンも問題

2025年12月、タイ陸軍のVT-4戦車がカンボジアとの衝突で連続射撃中に125mm主砲の砲身が破損する重大事故を起こしたことが複数回確認された。この砲身破損は継続的な射撃に起因するとみられ、現場では 砲身の材質や寿命そのものに疑問が投げかけられている。こうした事故の報道は現地メディアでも伝えられている。

さらに、VT-4は 熱帯気候下での実戦運用でエンジンのオーバーヒートや電子制御系の不具合が複数報告されている。これには高温多湿環境での連続機動運用中にエンジン出力が低下したり走行不能に陥る事例 が含まれ、乗員からは「戦車がパレードや展示会用にしか見えない」との声が聞かれている。

VT-4は高度なデジタル火器管制装置を備えるが、 温度変動や振動環境下での耐環境性能が不十分で、目標補足や射撃安定性にバラつきが出るとの指摘もある。この点については、装甲車両の基本動作である砲塔の回転・照準操作への信頼性の低さとして、前線の乗員から不満が漏れる要因となっている。

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こうした技術的な問題を背景に、タイ陸軍内では アメリカ製の旧式戦車(M48A5/M60A3)への評価が逆に高まっている。冷戦期から運用されてきたこれら旧式戦車は老朽化しているものの、 単純で堅牢、予期せぬ故障が少ないと隊員から「実戦での信頼性は高い」という声が聞かれるという。特に、VT-4戦車の複雑な電子制御系や高温環境下での不安定さが、旧式機械式の信頼性と比較される要因となっている。

VT-4は中国北方工業公司(NORINCO)が輸出向けに開発した比較的新鋭の主力戦車で、低価格と高性能を売りにしている。しかし現場からは実戦環境での耐久性やサポート体制への不安が根強く、装備としての長期的な信頼性が問われている。 今後、タイ陸軍は詳細な技術調査を踏まえ、装備運用の見直しや補修体制の強化を迫られる可能性がある。