北朝鮮は冷戦期、ベトナム戦争や第4次中東戦争(1973年)に戦闘機部隊や操縦士を派遣し、一定の戦果を挙げたとされる。一方、ロシア国内では最近、ウクライナ戦争で消耗が続く航空戦力の補填策として、北朝鮮からSu-25攻撃機の提供を受ける案が取り沙汰されている。

もっとも、この構想は北朝鮮空軍そのものの派兵を想定したものではなく、あくまで機体の「貸与」や「供与」にとどまる。仮に操縦士や整備要員を含む派兵が求められたとしても、現代戦における損耗リスクの大きさや国際的波紋を考えれば、北朝鮮が応じる可能性は低いとみられる。

実際、ウクライナ戦争はSu-25にとって極めて厳しい戦場となっている。同機は本来、低空・低速で前線に接近し、地上部隊を直接支援する近接航空支援(CAS)を主眼に設計された。しかしウクライナでは携帯式防空ミサイル(MANPADS)や中距離地対空ミサイルが前線に広く展開され、低高度侵入そのものが高い撃墜リスクを伴う。ロシア軍は損失を避けるため、実際には超低空侵入を避け、ロケット弾を遠距離から投射する「投げ込み型」の攻撃に戦術を変化させているが、これでは精度が大きく低下し、軍事的効果は限定的と指摘されている。

さらに、Su-25は現代的なネットワーク化戦争や精密誘導兵器の運用を前提とした機体ではなく、高度な電子戦環境下では生残性に限界がある。ウクライナ側が西側支援で防空・電子戦能力を強化する中、Su-25の投入は「消耗を前提とした支援手段」に近づいているのが実情だ。

一方、北朝鮮は最近、長射程巡航ミサイル「タウルス」に似た外形の空対地ミサイルをSu-25に搭載した写真を公開し、航空攻撃能力の向上を誇示した。しかし、その射程や誘導精度、実際に防空圏外から攻撃できるスタンドオフ能力を備えているかは不明で、ウクライナ戦争で露呈したSu-25の脆弱性を根本的に克服できるかは疑問が残る。

(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

ロシア側にとっても、老朽化したSu-25の追加確保が戦局を左右する決定打となる保証はない。北朝鮮からの機体提供は、象徴的・補助的な意味合いにとどまり、冷戦期の派兵実績を現代戦にそのまま重ね合わせることは難しい。高密度防空と無人機が主役となったウクライナ戦争は、Su-25という機体そのものの時代的限界を浮き彫りにしている。