北朝鮮の金正恩国務委員長が、平安北道・亀城市病院の竣工式に出席し、朝から夕方まで約9時間にわたって現地指導を行ったことが明らかになった。

韓国の独立系メディア「サンドタイムズ」が調べたところによると、金正恩氏は午前9時ごろ現地に到着し、日没後の午後6時前後まで病院に滞在したとみられる。医療設備や運営体系について詳細な報告を受けながら、施設の隅々まで歩き回る様子が確認された。同行した党・政府の高官らは、終日立ったまま指示を書き取ることを強いられ、疲労困憊の状態だったとみられる。

金正恩氏の現地指導は、すべての案件や細部にまで口を出し、自ら決定する「万機親覧」型で知られる。気に入らない点があれば即座に叱責が飛び、過去には些細な返答が命取りになることもあった。2015年には、スッポンをめぐって激怒した様子が公開されたこともある。

今回同行した幹部の多くは70歳前後の高齢者だ。常に分厚い手帳を携え、指導者の一言一句を書き留めながら、いつ不満を示されるか分からない状況で神経をすり減らす。指導が長引くほど、肉体的・精神的負担は増していく。

金正恩氏は、2026年に開催予定の朝鮮労働党第9回大会を見据え、急ピッチで「成果作り」を本格化させているが、どうやら思惑通りには進んでいないようだ。各地で地方工場や病院、住宅建設を無理な突貫工事で進めているものの、竣工という分かりやすい結果を優先した結果、現場では過剰な動員や過酷な労働が常態化し、疲弊と不満が蓄積している。

そもそも計画自体に無理があり、仮にミスが生じたとしても、金正恩氏は幹部に責任をなすりつけ、叱責や処罰によって統制を強めている。北朝鮮の幹部たちは、政権の中枢に近づくほど、日常的に過酷な現地指導に付き合わされ、粛清の恐怖にさらされているのだ。