北朝鮮では現在、未認証の外国製避妊薬が違法に流通しており、若い女性たちが密かに服用しているという。とりわけ中国製の避妊薬が多く流入しており、種類も増加。服用の広がりとともに深刻な健康被害が懸念されている。
デイリーNKは昨年7月、咸鏡北道・清津の市場で、使用期限が3~4年過ぎた中国製の避妊薬を商人たちが密かに販売していたと報じた。主な購入者は若い女性たちだった。それから1年が経った今も需要はむしろ増えており、販売されている製品の種類もさらに増えていると、複数の現地情報筋が伝えている。
(参考記事:北朝鮮の少年少女を蝕む「中国で捨てられたコンドーム」)
現在流通しているのは性交前に服用するピンクの錠剤と、性交後に飲む白い錠剤の2種類。両方を同時に服用した方がより確実だと勧める商人もいるが、これは少しでも多く儲けるためだ。
「清津のある薬売りが『ピンクの錠剤だけでもいいが、白い錠剤も一緒に飲めばより安全だ』と言っていた」(情報筋)
価格は2種類合わせて13元(約286円)。これは市場でコメ4キロを買えるほどの金額で、女性にとって経済的負担にもなっている。
問題は価格よりも健康被害だ。ピンク錠は高用量ホルモンを含み、過去には米FDAの警告対象にもなった。さらに白い錠剤も緊急避妊薬として本来単独で効果があるが、併用によりホルモン過剰摂取のリスクが高まる。
北朝鮮の女性たちがさらに危険にさらされている理由は、複数の薬を同時に飲むよう勧められているからだ。両方の薬には共通して高用量のホルモン成分が含まれており、同時服用するとホルモンが過剰に蓄積され、血栓、肺塞栓症、心疾患など深刻な副作用を引き起こす可能性がある。しかし北朝鮮の一般国民は、そうしたリスクを十分に理解していないようだ。
人々は、「体に悪くて将来妊娠しにくくなるかもしれない」といった程度の認識しか持っておらず、医学的な危険性についての正確な知識はほとんどないのが現状だ。
