北朝鮮では土地も住宅もすべて国の所有となっている。個人は国から居住権を得て家に住むが、この居住権を取引する形で、不動産市場が形成されている。
法に触れる行為であり、時々取り締まりも行われている。だが、根絶されることはない。
国は、住宅建設の予算をトンジュ(金主、ニューリッチ)からの投資で集め、その見返りとして住宅を与える。トンジュはそれを転売することで利益を得る。つまり、国自らが法を破っているのも同然なのだ。
(参考記事:「金正恩印のタワマン」転売発覚で平壌から追放)一方、住宅の中には非常に数が少ないものの、れっきとした個人所有の住宅が存在する。これは、北朝鮮は社会主義改造の完成を宣言した1958年以前から個人が所有していたもので、土地は国の所有だが、上モノは個人の所有や売買が認められている。
このような個人住宅の人気が最近高まっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、道内最大都市の清津(チョンジン)市内の中心部にある個人住宅の人気が高まっていると伝えた。
これらの建物に目をつけたのがトンジュだ。昨年から不動産取り引きへの取り締まりが強化され、売買が難しくなった。だが、個人住宅はその対象外だ。そこで、トンジュは ボロくなった古い個人住宅を安く買い取って、家を建て替えたりリモデリングしたりする。自分自身が居住するが、資金が必要になったら売り払うこともできる。
(参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面別の情報筋によると、建て替えられた家はまるで宮殿のようで、多くの市民は指を咥えて見ている。現在の市内中心部に当たる清津駅前の地域や、商業の中心である水南(スナム)市場周辺の家の人気が特に高い。利便性が高いだけあって値段は張るが、その分儲けも大きい。
現在、水南2洞の個人住宅があったところに、高い生け垣に囲まれ、大きな玄関のある豪邸が建設中だが、元々は南郷洞(ナミャンドン)の3万ドル(約473万円)のマンションに住んでいた人が入居予定だとのことだ。