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サッカーの2026年ワールドカップ(W杯)アジア2次予選で日本と対戦する北朝鮮男子代表の選手が19日午後、羽田空港に到着した。試合は21日に行われる。両チームともフェアプレー精神にのっとり、健闘するよう期待したい。

ところで、北朝鮮サッカーを巡っては「負けたら炭鉱送りか」ということが長年にわたり囁かれてきた。筆者は、ものすごく厳しい反省会のような「思想教育」はあるかもしれないが、少なくとも近年では、炭鉱送りのようなことはないと考えている。

だが、それとは別の意味で、北朝鮮サッカーを巡る非常に興味深い事件があった

朝鮮中央通信は2013年9月11日、金正恩第1書記(当時)が観戦したサッカーの「たいまつカップ」競技大会で不正が発覚し、決勝で勝った「先鋒チーム」から優勝を剥奪したと報じた。

同通信は、体育省体育競技規律審議委員会報道官が記者の質問に答える形で、「8月28日、金日成競技場で行われた『たいまつカップ』1級男子サッカー決勝戦で、健全な体育精神と道徳気風にそぐわない不祥事が起きた」とし、このように明らかにした。

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その結果、優勝カップは4.25体育団に渡り、先鋒チームは同国サッカー協会が組織するすべての国際および国内試合への参加資格を6カ月間停止された。

北朝鮮メディアが、こうした事件を報道すること自体が異例中の異例だった。しかも、金正恩氏が直接、観戦した試合での出来事であり、最高指導者の権威を傷つけることにもつながりかねない。背景に何があったのか。

その答えは間もなく明らかになった。同年12月12日、金正恩氏の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長が「国家転覆陰謀行為」により死刑判決を受け、即日処刑された。この事件では、張氏の「一派」と見られた1万人とも言われる人々が、粛清の憂き目に遭っている。

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かつて、北朝鮮で金正恩氏に次ぐ「実力ナンバー2」と言われた張成沢氏は国家体育委員会の委員長も兼務しており、彼を排除する口実を得るための調査の過程で、スポーツ行政の暗部にメスが入ったとの見方が有力なのだ。

サッカーでの不正摘発は、それ自体が張成沢粛清の理由になったとは言えないまでも、彼とその人脈に連なる人々の運命を予告する事件であったと言えるのだ。

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ただ、「汚れ役」となった先鋒チームは、不正の当事者たちの運命は詳らかでないものの、組織そのものは残された。2015年4月には再び、金正恩氏が同チームの試合を観戦している。