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昨年8月、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)で、2100頭もの牛を売り払ったとして、男女9人が、2万5000人が見守る中で公開処刑された。また、14人が無期懲役から10年以上の懲役刑の判決を受けた。

北朝鮮において、農耕などに用いられる牛は重要な国家財産とされており、許可なく屠畜、販売することは厳しく禁じられている。しかし、この裁判と公開処刑を巡り、国民の間から疑問の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:飢える北朝鮮「禁断の食肉マフィア」男女9人を公開処刑

「あんなにひどいやり方で処刑されるとは思わなかった」と語った両江道の情報筋は、公開裁判を行った朝鮮人民軍(北朝鮮軍)特別軍事裁判所の判決に疑問を呈した。

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裁判官は「2017年から今年2月まで2100頭の国家所有の牛を屠畜して売り払った特大型犯罪を犯した」「この者どもは、わが国(北朝鮮)の天にも地にも葬るべきところのない大逆罪人で、三代を滅ぼしてもなお余りある」などと述べたが、その一方で証拠を示せなかったというのだ。これが、三代を滅ぼすまでの特大型犯罪なのか、と情報筋が疑問を抱いたのも無理はない。

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事件が発覚したのは昨年2月、彼らが牛肉を首都・平壌に持ち込もうとして、国家保衛省(秘密警察)の10号哨所(検問所)でのことだが、その当時、「偶蹄目の動物やその肉を移動と販売を徹底して統制せよ」との指示が下されていた。それで、摘発が上部に報告され、問題が大きくなってしまったというのが、情報筋の説明だ。

処刑された人の中には、両江道商業管理所の「4号供給」担当の女性販売員もいたが、この「4号供給」とは、道党(朝鮮労働党両江道委員会)の部長クラス以上の幹部への商品の供給を指す。判決によるとこの販売員は、幹部に配給する牛肉を、口蹄疫にかかって死んだ牛の肉に入れ替えたという。情報筋は、「幹部が口蹄疫にかかったことが、『特大型犯罪』とされて処刑された根本的な理由のようだ」と述べている。

しかし、口蹄疫は人間には感染しない。幹部らは、口蹄疫以外の別の病気にかかったものと思われるが、牛肉との因果関係は不明だ。

(参考記事:北朝鮮で拡大する「ブルセラ症」…ヒトにも感染、死亡する場合も

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現地の情報筋は、この話がどんどん伝わり「病死牛肉を売ったのは、公開処刑されるほどの罪なのか」と疑問を呈する世論が広がっていると述べている。