中国が密入国の北朝鮮人多数を摘発…サイバー犯罪要員か

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北朝鮮から中国に派遣されている労働者は、10万人を超えるとも言われる。

国連安全保障理事会の制裁決議により、国連加盟国が北朝鮮の労働者を新規雇用することは禁じられている。しかし北朝鮮は、技能実習制度や渡江証や訪問証と呼ばれるノービザ滞在ができる臨時のパスポートを労働者に持たせて派遣する手法を使い、制裁破りの労働者派遣を行っている。

中国企業としても、中国人の3割ほどの人件費で雇用でき、離職率と欠勤率が非常に低い北朝鮮労働者は、実に使い勝手がいい存在と言えよう。

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これらは当然、中国当局の黙認のもとに行われているのだろうが、関係各所に連絡が行き届いているわけではないようだ。最近、中国に入国しようとしていた北朝鮮労働者が、中国の国境警備隊に逮捕される事件が起きた。

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中国のデイリーNK情報筋によると、今月初めのある日の夜、数十人の北朝鮮人を乗せた船が遼寧省の港に入港した。ところが、上陸直後に中国の辺境防衛隊(国境警備隊)に逮捕されてしまった。公安局(警察)に身柄を移された彼らは、取り調べでこう述べたという。

「(北)朝鮮での生活が苦しく、中国で労働者として働いてから帰ろうとした」

北朝鮮で船が出港するには、保衛部(秘密警察)と国境警備隊に申請して許可を得なければならない。特にこれだけの大人数とあっては、当局の事前許可なしに出港することは不可能だ。

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北朝鮮当局は労働者派遣を認めていたものの、中国側とのすり合わせがないまま出港を強行してしまい、逮捕されてしまったものと思われる。それでも、工場で働く一般の労働者ならそのまま受け入れられたかもしれないが、そうはならなかったことを考えると、違法なサイバー活動を行うIT人材だった可能性もあると、情報筋は見ている。

中国は、中国企業との正式契約に基づいた労働者派遣に関しては黙認するが、サイバー犯罪に関連する可能性のあるIT人材の受け入れは許可を出さないケースが多いと言われている。国内で中国人をターゲットにして特殊詐欺を行う可能性があるからだ。

ただし、現時点では逮捕された労働者の職業などは明らかになっていない。

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もし、北朝鮮政府が主導した組織で完全に違法な密入国事件だった場合、両国の間での外交問題に発展する可能性も考えられるが、北朝鮮は「個人の逸脱行為」として知らぬ存ぜぬで押し通すだろう。

日米韓などは、中国やロシア、東南アジアで働く北朝鮮労働者の送還を国際社会に求めているが、安保理の制裁決議を無視して北朝鮮労働者の受け入れを黙認している中国の態度が、今回の事件に何らかの影響を及ぼさないか注目される。

(参考記事:北朝鮮、アフリカ各国で制裁破りの「労働者偽装派遣」