「何をしたいか理解できない」金正恩の”目玉政策”に国民はあ然

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北朝鮮で昨年末に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、金正恩総書記は、多くの時間を割いて、農業問題の解決について力説した。その中に、このような一節がある。

低収穫地を改良して沃土に転変させるための闘いを中断することなく力強く展開し、平野地帯や中間地帯、山間地帯を問わず、全般的な農場でヘクタール当たりの収量を高めるための課題を提示した。

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この「低収穫地」はもちろん、既に耕作が行われている土地を指すが、生産性の低い土地のみならず、収穫が国の公式統計に捉えられない土地も含まれると考えられる。そんな土地の一種が「副業地」だ。

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これは工場や企業所、行政機関などが、従業員に配給するための作物や、原材料となる作物を栽培するための農地を指す。これを「回収せよ」との命令が出されたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

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朝鮮労働党咸鏡北道委員会(道党)は今月初旬、道内の工場、企業所、機関が所有している副業地について、全数調査を行い、場合によってはある程度回収し、農場に引き渡すとの決定を行った。

元はと言えば道党が、住民の食糧問題解決のためにヒマワリ、ゴマ、大豆など食用油の原料を栽培するために許可を出した副業地である。だが、耕作地を2倍に増やし、二毛作を行って穀物生産量を増やせという国の指示に基づき、どのくらい耕作地を増やせたか報告しなければならないため、副業地の約半分を回収することにしたというのだ。要するに単なる数合わせだ。

今回の決定に対して、工場、企業所側からは「土地は本来、国の所有だが、企業所にも必要なもの。これすら奪う理由がわからない」「政策が毎日変わるので、いったい何をしたいのか理解できない」と強い不満の声が上がっている。

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また、国から求められる建設労働者への支援や、祝日の特別配給品の供出なども、これら副業地で取れる作物で行っていたが、それすらできなくなり、唖然としているとのことだ。

工場、企業所は、道党から許可を得て使ってきた耕作地以外にも、新たに土地を切り開いて耕作地を開墾したが、質のいい土地だけ奪われ、収穫の少ない土地だけが残されてしまったという。

道党はこれら回収した土地に、トウモロコシを植える方針だという。

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道党のやり方を見た現地住民からは「農業に集中して食糧問題を解決しようとする国と党の意図はいいが、配給もくれないくせに、工場に必要な土地をも奪って農場に帰属させるのは、工業を疎かにしている」「原料は手のひらから作り出せとでも言うのか」などと批判的なリアクションが出ている。

このようにして奪われる土地は、副業地だけではない。一般庶民が日々の糧を得るために、山を切り開いて開墾した「トゥエギバッ」と呼ばれる小規模な耕作地も没収されている。結局これも数合わせに過ぎず、実質的な農業生産量が増加するわけではない。

(参考記事:食糧確保のため庶民の畑を奪う金正恩と「10年前の悪夢」

北朝鮮は、なりふり構わぬやり方で農業生産量を増やそうとしているが、天は味方してくれなかった。異常少雨で4月末に収穫予定だった麦の多くが枯れてしまったのだ。

(参考記事:「もうダメだ。希望が消えた」食糧難の北朝鮮で絶望の声