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「ゼロコロナ」を目指し、非常に厳しい新型コロナウイルス対策を取っている中国。その強力な抑え込み策にほころびが生じつつある。中でも、北朝鮮に接した吉林省で新規感染者が急増している。

吉林省衛生健康委員会の発表によると、3月に入ってから市中感染の事例が徐々に増え、今月9日には168人に達し、感染者の最高値を更新した。また、1日から10日までの市中感染者の数は、大学病院でクラスターの発生した吉林市で388人、長春市で73人、そして延辺朝鮮族自治州では50人に達している。

中国全体でも10日に837人と最高値を記録。日本や韓国の新規感染者数と比べると微々たるものだが、心中穏やかでないのが、中国との結びつきが非常に強い北朝鮮だろう。

北朝鮮は2020年1月から、国境を封鎖して貿易を停止するコロナ鎖国状態に入ったが、昨年から首都・平壌近郊の南浦(ナムポ)港を通じた貿易をごく限定的ながら再開。今年1月16日から中国とを結ぶ貨物列車の運行を再開させるなど、途絶えていた中朝貿易を、様子を見ながら徐々に広げつつある。

(参考記事:中国との貨物列車の運行再開で北朝鮮が一部道路の通行を規制

北朝鮮は、輸入貨物にウイルスが付着して、国内で新型コロナウイルスが広がりかねないと考え、最大の貿易都市の新義州(シニジュ)近郊に大規模な防疫施設である「国家西部物流総合処理場」を建設したが、それだけでは足りず、塩州(ヨムジュ)でも新たな防疫施設の建設に着手した。

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新義州とつながる中国・遼寧省では、ほとんど感染は広がっていない。一方、感染の広がる吉林省と接する慈江道(チャガンド)、両江道(リャンガンド)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の国境は閉じられたままだ。これは今回のコロナ感染拡大とは関係なく、貿易を国のコントロール下に置くために、以前から行われている措置だ。

今後、遼寧省で感染が広がらない保証はない。北朝鮮は、遠く離れた西アフリカでのエボラ出血熱の流行で鎖国状態に入ったことがあるほど、感染症の流入を恐れる。今回の吉林省での感染拡大を関連した北朝鮮の動きについては伝えられていないが、せっかく開かれた門戸が再び閉じられる可能性も考えられる。

(参考記事:国境付近で次々に捉えられる北朝鮮の貿易再開の兆し