ロシア軍がウクライナに対する侵略を開始したのは先月24日のこと。だが、朝鮮労働党機関紙・労働新聞など北朝鮮の国内向けメディアは、このことについて一切報じていない。朝鮮中央通信が、外務省報道官らの「ウクライナ事態の根源は米国と西側の覇権主義政策」にあるとの認識を報じただけだ。
一方で、朝鮮労働党の党員に限っては、ロシアの軍事行動について情報が伝えられていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
平安北道(ピョンアンブクト)の幹部は、道内各地域の党委員会が先月26日、党員に対してのみ、生活総和の時間に、「われわれの血盟であるロシアが戦争中だ」と知らせたと伝えた。同時に、国際情勢が非常に緊張しているとして、常時動員準備体制に備えるよう求めた。
これは、朝鮮労働党中央委員会の指示に基づいて伝えられたが、「ロシアがウクライナを侵略した」という核心部分は隠され、戦争状態だということだけ伝えられた。
だが、党員の多くは中国の知人などを通じて、ロシアのウクライナ侵略について既に聞いており、ロシアがなぜウクライナに攻め入ったのかその理由に関心を見せた。当局が伏せたことから、逆に好奇心を煽った形だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面隣国で独立国家であるウクライナにロシアが侵攻したことに、多くの人が驚きを示し、第3次世界大戦が起きるのではないかと懸念する人もいたとのことだ。
(参考記事:「核があってこそ国を守れる」ウクライナ侵略巡り北朝鮮高位層で広がる)
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、一般国民の間に、ロシアのウクライナ侵略に関する情報が急速に広がっていると伝えた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面道内の工場や企業所、行政機関内の党委員長が口頭で伝えたというが、それ以前に、噂が広まっていたようだ。各委員長は、いかなる状況でも戦争に即応できる準備体制を備えるように伝えたが、それを聞いた人々の中には、「ここでも戦争が起きてこの忌々しい体制が終わればいい」という反応を示す人すらいたという。
(参考記事:「米軍が金正恩を爆撃してくれれば」北朝鮮庶民の毒舌が止まらない)多くの人は、独立国家である北朝鮮の自主性と内政干渉の不当性を常に強調している政府が、ロシアのウクライナ侵攻にどのような立場を示すか注視しているとのことだ。
(参考記事:ロシアの北朝鮮労働者、ルーブル暴落で苦境に)