北朝鮮兵は弾倉が空になるまで撃ち続けた…射殺された「ある恋人たち」の悲劇

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欧州各国は昨年春、新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受けて、厳しいロックダウンを敷いた。買い物などごく限られた理由を除き、一切の外出を禁じるという厳しいものだったが、ウイルスに関してある程度の知見が得られた今、同じロックダウンでも、昨年と比較してかなり緩和された措置となっている。

一方、国内でのコロナ感染者の発生を認めていない北朝鮮は、世界で最も厳しいと言えるロックダウンを乱発している。中国国境に接する慈江道(チャガンド)では、感染拡大が始まってから4回目のロックダウンが始まったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

慈江道当局は今月3日、慈城(チャソン)郡と満浦(マンポ)市に対して来月7日までの封鎖令(ロックダウン)措置を下した。満浦市に対しては、昨年8月から9月、10月26日から11月14日まで、同月21日からの3回の封鎖令が下されたが、今回で4回目となる。

(参考記事:北朝鮮で拡大するロックダウン、慈江道全域に封鎖令

そのきっかけとなったのは、2つの事件だ。

今月2日、慈城で国境警備隊の兵士が恋人と共に国境を流れる鴨緑江を渡ろうとした。情報筋は事件が発生した場所について言及していないが、川幅が狭く水量の少ない、中国側では観光地となっている雲峰(ウンボン)ダムの下流と思われる。

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2人は結婚を誓い合っていたが、何らかの理由で家族に激しく反対されていた。絶望した2人は、脱北して韓国に逃げる決心をして川に飛び込んだが、あっという間に国境警備隊の他の隊員に発見された。

当局は、国境地帯に入る者を無条件で射殺するよう指示を下しているが、隊員らは、弾丸30発の入ったマガジンが空になるまで銃撃を続けた。数十発の小銃弾を受け、蜂の巣のようになり絶命した2人の亡骸は、川の中で数日間放置されたとのことだ。

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一方、満浦では密輸事件が発覚した。

地元の市場で、当局が輸入していないはずの中国製の食品を扱う商人がいることを不審に思った慈江道保衛部(秘密警察)が捜査に乗り出し、密輸品であることが判明。密輸を主導したトンジュ(金主、新興富裕層)と、密輸に手を貸していた国境警備隊関係者ら7人が逮捕された。いずれも管理所(政治犯収容所)送りにされる可能性が高いと見られている。

封鎖令を受けて、市内の市場は閉鎖され、外出は一切禁じられている。

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市民は、やり場のない怒りを脱北や密輸の当事者にぶつけ、「死んで当然」などと罵っている。一方で、「他の国も封鎖ばかりしているのか」「封鎖以外の他の方法はないのか」と、当局の極端な反応を批判する人もいる。

また、食糧不足や、軍が勝手に軍糧米(軍向けの食糧)を徴発することを懸念する声を上がっている。

「1週間封鎖しただけで、コメが底をつく家が1割あるはず」
「こんなに封鎖すれば、軍に食糧を全部奪っていかれる」

そんな世論を意識したのか、当局は各世帯にトウモロコシ300グラムを配給したが、1ヶ月間外出せずに耐え抜くには全く足りず、栄養失調で苦しみ、餓死する人が出ることは避けられないと思われる。

(参考記事:「コロナより餓死が怖い」北朝鮮国民、市場封鎖に猛反発

鴨緑江の対岸の吉林省では先月から感染者が急増、中でも満浦の対岸にある集安を含む通化市が深刻な状況となっている。吉林省衛生健康委員会の発表によると、今月7日の時点でコロナで入院している人の数は234人で、通化市だけで142人に達している。