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北朝鮮当局は今年2月20日、新型コロナウイルスの拡散防止策として全国の小中高校、大学、幼稚園、託児所に対して冬休みを延長させる形で休校措置を取った。当初は1ヶ月程度の予定だったが、延長を繰り返した。

ようやく今月1日から再開されることになったが、当局の決めた防疫基準を満たしていない学校が続出、休校はさらに2日間延長された。

(参考記事:北朝鮮の学校が6度目の新学期延期「防疫基準に達せず」

そして再開したのもつかの間、当局はまたもや休校を宣言した。

内閣の教育省は22日、7月1日から8月31日まで夏休みを実施するとの方針を、道、市、郡の教育部に対して示したと、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。その理由は「全国的な防疫のための先決的な措置」、つまり感染を未然に防ぐためだ。

教育省は、7月1日から20日間、児童、生徒、教員すべてが自己隔離を行い、発熱などの症状があれば、病院や防疫機関に届け出よとの指示を下した。

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だが、教育省は当初、「教員と現地の実情に合わせて補習を行え」との指示を出し、これを受けて各学校では、児童、生徒の学習量を確保するために、7〜8月の夏休みを潰して補習を行う方針を示し、計画を進めていた。しかし、計画は白紙に戻された形だ。

教育省の言い訳は「授業の進捗度は重要ではない、児童、生徒の健康が重要だ」というもので、進捗度や日数の調整については8月中旬に改めて指示を下すとしている。猫の目のようにころころ変わる方針に、現場の教師や親たちは振り回されていることだろう。

当局は、コロナ対策として国境封鎖、貿易停止を打ち出したが、それにより国内経済が悪化、各地で食糧不足が発生するなど、人々の暮らしは苦境に追い込まれている。その一方で、感染拡大が抑えられたのか、情報統制がより強力になったためかは不明だが、非公式の感染者発生情報が伝わって来なくなっていた。

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そこに飛び込んできた新たな休校命令。これに関して情報筋は、教育部門の関係者の話として、「(北朝鮮と国境を接する)中国吉林省の長白朝鮮族自治県で伝染病(新型コロナウイルス)が広がっている」ことを指示の根拠として挙げている。

吉林省衛生健康委員会の25日の発表では、域外から持ち込まれた感染例は54日連続、省内で発生した感染例は32日連続で報告されていない。長白県で感染例は報告されていないが、上級行政単位の白山市では今年2〜3月に報告があるものの、省内で最も少ない。

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一方で隣の黒龍江省では、現在は落ち着いているものの感染例が多い。また、首都・北京では第2波とも言われる感染拡大が続いている。これらの情報が、長白県での感染拡大と間違って伝わっている可能性がある。

この関係者はまた、国境地域以外の全国で急に夏休みを実施すると言い出したのは、国内での感染が広がっているのではないかという見方も示した。全国的に相次いで開催されてた、脱北者と韓国を糾弾する大会には多くの人が集まるため、そこで感染が広がったのだろうと噂されている。

(参考記事:北朝鮮国民は「脱北者非難」に同調せず…国内引き締めが逆効果

住民の間では「国が国際機関に感染状況を知らせるべきだ」「コロナが本当にひどいのではないか」などと不満と不安が混じった声が上がっている。