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世界の観光客の数を表す国連世界観光機関(UNWTO)の国際観光客到着数は、2000年には6億8200人だったのが、2008年には9億1600万人、その後もリーマンショック直後の2009年を除いて増加を続け、2018年には14億人に達した。

全世界的な観光客急増の傾向は、「閉ざされた国」と言われ続けてきた北朝鮮にも及んでいる。

(参考記事:実は近くて普通に行ける、北朝鮮旅行

韓国の月刊中央2018年10月号が掲載した非公式統計によると、2011年に北朝鮮を訪問した中国人観光客の数は19万4000人に達していた。その後減少に転じたが、中朝関係の改善で再び急増、2018年には1日に1000人、多い日で2000人に達したと言われている。1日1000人で計算すると、年間36万5000人の中国人が北朝鮮を訪問したことになる。

この観光客の急増に、北朝鮮は悲鳴を上げている。

北朝鮮当局は中国の旅行会社に対して、今月18日から中国人観光客の受け入れを1日1000人に制限する措置を行うと通告したと、中国のグローバルタイムズが報じた。

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一方、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、この制限は中国人観光客に限り、他の外国人には適用されていない模様だと報じた。

RFAの取材に答えた英国のルーピン・トラベルの関係者は「中国人観光客の数が増え観光客の数を制限しているようだ」としつつも、英国人の場合はビザ発給が多少遅れる可能性はあるが、大きな問題にはならないと述べた。

英国のチュチェ・トラベル・サービスの関係者は、「もはや3月はシーンズオフとは言えない」として、今回の措置は観光客の急増による宿泊施設の不足によるもののようだと述べた。

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北朝鮮を訪れる外国人ツアーの多くが平壌を経由するが、観光客を受け入れる平壌のホテルとしては羊角島国際ホテル(1001室)を筆頭に、高麗ホテル(500室)、西山ホテル(510室)、青年ホテル(460室)、両江(リャンガン)ホテル(330室)などがある。

すべて合わせると2800室ほどになるが、グレードの低い部屋は外国人に提供されないことになっていることもあり、1日1000人を超える観光客は受け入れの限界に近いのだろう。

また、北朝鮮は外国人観光客からのフィードバックに基づき、ホテルの改修工事を行っているが、工事の遅れで稼働できない部屋が多数あることも考えられる。

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チュチェ・トラベル・サービスの関係者によると、北朝鮮側は国籍別に受け入れ数を割り振ることも考慮しているとのことだ。前述の統計によると中国人以外の観光客は全体の1割未満で、彼らを優先しつつ、残りで中国人観光客を受け入れることを考えているようだ。

問題はホテルだけではない。北朝鮮を訪れる外国人には必ず案内員(ガイド)が付くことになっているが、この数が足りていない可能性も考えられる。また、観光客を乗せる観光バスも同様だ。当局は軍用車両を動員して観光客を輸送しているほどだ。

北朝鮮は昨年8月、外国人観光客の受け入れを一時的に制限したが、これも観光客の急増でキャパシティが限界に達したことによるものとの見方がある。

施設の不足で、北朝鮮が喉から手が出るほど欲しがっている外貨が稼げなくなるのは痛恨の極みだろう。金正恩党委員長は巨大リゾート計画、元山葛麻(カルマ)海岸観光地区の建設を進めているが、優先すべきは平壌のホテル建設ではなかろうか。