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国境の川・鴨緑江を挟んで中国に面し、国の表の顔の役割を果たしてきた北朝鮮の新義州(シニジュ)市。メディアが同国の困窮ぶりに言及する際には、同市の対岸から撮られた写真が使われることが多かった。そんな現状に業を煮やしていたであろう金正恩党委員長は昨年11月、「新義州市建設総計画」をぶち上げた。

この計画では、鉄道と緑地帯に沿って大通りを建設し、そこに高層マンションを50棟、商業施設、行政機関、20階建て以上の世界的な高層ホテルを10棟以上建てることになっている。また、鴨緑江沿いにも高層マンションを建てるというメガプロジェクトだ。

(参考記事:金正恩氏、中朝国境都市の再開発を指導「5カ年計画で」

しかし、計画はストップしてしまっていると、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。当局の説明する表向きの理由は「冬だから」というものだが、実際のところは資材が足りないようだ。

「建設資材がまともに供給されず、今は工事をしようにもできない状況だ。資材や鋼板が供給されなければならないのに、未だに中国から入ってきていない。(当局は)3月から建設を再開すると言っているが、難しいそうだ」(情報筋)

工事はすでに昨年初頭から始まっていた。ビルの建設予定地の整地を行い、建設を始めたところもあった。

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計画には当初、カジノホテルも含まれており、建設が進められていたが、自国民のギャンブル問題に苦しめられている中国政府からの抗議で、工事が中断してしまった。その後、再開はしたものの、情報筋によると1〜2ヶ月前から工事が再度ストップしてしまっている。

(参考記事:北朝鮮のカジノホテル、中国からの抗議で工事中断

しかし、金正恩氏が現地を視察するなど並々ならぬ関心を示しているだけあって、そのうち建設は再開されるものと思われる。

そもそも北朝鮮は三池淵(サムジヨン)地区、元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区の建設という、最優先のメガプロジェクトを抱えている。さらには、漁郎川(オランチョン)と端川(タンチョン)の発電所建設もある。当局は、数十万人に及ぶ人員を投入し、国民には建設資金として金品を供出させている。

(参考記事:大学生も住民も「死にそう」…北朝鮮の酷寒「超ブラック事業」

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北朝鮮は1989年、平壌で世界青年学生祝典を開催するに当たって、様々な巨大建築の建設を進めた。その費用が国家財政に重くのしかかり、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の遠因となったと言われている。

祖父と父親の「ハコモノ大好き気質」を金正恩氏も受け継いでいるようだが、唯一の救いと言えるのは、当時と今では北朝鮮経済の構造が大きく変化したことだ。かつてはマンションやレジャー施設をいくら建てても誰にも一銭の儲けも入らなかったが、今では販売収益が投資家を潤すようになっているからだ。