「去年、慈江道(チャガンド)との道境に住む人の畑が盗みに遭い、地元の人民委員会に信訴を行った。すると、犯人である近隣住民ではなく、訴え出た被害者に強制労働1カ月の刑が下された」
どうしてこんなことになるのか。答えは単純だ。北朝鮮社会ではあらゆる場面でワイロが求められる。応じたくなくとも、強要されむしり取られる例が多い。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)かつて信訴が法制度の外で運用されていた時代には、ここまでの理不尽はなかったとの説もある。訴えがどのように処理されるかは、担当者する役人の人情と裁量の範囲に限られていたからだろう。