金正恩氏が経済制裁で「最初の悲鳴」を上げた

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北朝鮮では1990年代に食糧配給システムが崩壊し、自然災害も相まって、「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が起きた。少なくとも数十万人、一説には100万人にも及ぶ犠牲者が出たとされるが、人々はこの苦難を生き抜く過程で鍛えられた。もはや国家はアテにならないと学び、社会主義の中で教えられたこともない商売に乗り出したのだ。

そうした庶民の生命力は、北朝鮮の計画経済をなし崩し的に資本主義化させた。その過程で売春や覚せい剤の蔓延などの退廃も起きたが、「自分で稼ぐ」ことを学んだ人々の出現は、国家にしなやかな強靭さを与えるに至った。その基盤の上に乗っているからこそ、金正恩体制はなかなか揺らがないのである。