「苦難の行軍」は、いつでも再発し得るのだ。
(参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶)実際に2012年には、穀倉地帯の黄海南道(ファンヘナムド)の食糧を、当局が根こそぎ徴発してしまったため、青丹(チョンダン)、白川(ペチョン)、延安(ヨナン)などを中心に、多数の餓死者が発生した。犠牲者数は2万人とも言われ、1日で1000人以上が餓死した日もあったと伝えられている。
このような事態がまたもや繰り返されることになれば、金正恩体制の動揺につながる可能性もある。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。