これに比べると、前述した「バランス」発言には金正恩氏の合理的な本音が透けて見える。
金正恩氏が米国との対決姿勢を貫くのは、独裁体制を維持するためだ。少しでも弱気を見せれば、国内外から「やっぱり金正恩は戦争をするつもりはないし、出来ない」と見られかねないから、過激な言葉を多用している。とはいえ、対決姿勢を永遠に貫けるわけにもいかない。また、威嚇が過ぎると米韓の圧力が強まり、結果的に金正恩氏の負担となって返ってくる。
例えば、金正恩氏は警備上の理由から一般のトイレを使えないが、米韓の圧力が強まれば、今以上に不自由な生活を強いられることになるだろう。
(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳)もしかすると、「米国との力のバランスを取る」という発言は、「米国を攻撃するつもりはない。対等になりたいだけなんだ。だから、そろそろ威嚇合戦を止めようではないか」という意味の、トランプ氏に対するアピールである可能性もある。