取締官は、家を没収すると言い出したのだ。他人の家に間借りして暮らしていた取締官にとって、マイホームを手に入れる絶好のチャンスだったのだろう。当局も、この取締官にAさん宅に住むことを許す居住許可証を出した。末娘の家族は最後まで抵抗して家に居座り続けた。業を煮やした取締官は、荷物を外に放り出して、斧を手にして「出て行け」と迫った。
Aさんが、コメが1トン近く買える150万北朝鮮ウォン(3600元、当時のレートで5万円〜5万5000円)もの貯金をはたいて購入した家は、保衛員に奪われてしまったのだ。
Aさんの災難はさらに続く。