それを妬んだ別の幹部たちは、金正恩党委員長の方針で、解任に関する規制が強化されたことを利用し、この幹部を権力の座から引きずり降ろそうとした。つまり、女性を拷問にかけるなりして、幹部の不正行為を洗いざらい吐かせようとしたのだろう。それを知った別の幹部が女性に「逃げろ」と耳打ちした。
7月中旬、女性は羅先に逃げ友人宅に身を潜めていたが、15日後に脱北未遂の容疑で逮捕され、新義州に護送された。一般人であれば、脱北未遂の明確な証拠がないため、軽い処罰で済むだろうが、この女性の場合はわからない。
なまじ保衛局に深く入り込み、幹部らの不正を知り抜いていただけに、もしかしたら口封じで処刑されることもあり得る。少なくとも、教化所(刑務所)送りは免れないだろう。