このとき正恩氏が入隊したのが、とある砲兵中隊だった。正恩氏は、後に金日成軍事総合大学に進んで砲術を専攻し、最高指導者となってからは「砲術の天才」と宣伝されているが、そうしたストーリーの根っこは、ここにあるのかも知れない。
しかし、「超」の付くおぼっちゃま育ちの正恩氏にとって、下級兵士としての軍隊生活が楽であったはずはない。軍隊生活はどこも厳しいが、補給が乏しく兵営も貧弱な北朝鮮の軍隊はなお厳しい。現在は普通のトイレを使えず、専用の代用品を持ち歩いているという正恩氏だが、そのような贅沢が通るはずもない。
(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳 )この極秘入隊の目的は、正恩氏を「現実」の中で鍛え上げ、その経歴を最高指導者となる上での武器として使うこと以外にはない。