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金正恩氏が後継者に内定された2009年頃には、この統治資金をめぐって金正恩氏と金正男氏の間で対立関係が生じたという。

その金正男氏は今年2月、マレーシアで猛毒の神経剤VXを顔に塗りたくられ、殺害された。筆者は、金正恩氏が金正男氏の暗殺を決断し、北朝鮮当局が企画、実行したと見ている。かつての金庫番とされる金正男氏が暗殺された後に、金正哲氏が金庫番になっていたとするなら、その関連性が気になる。

(参考記事:金正男氏を「暗殺者に売った」のは誰か…浮かび上がる「裏切り者」の存在

李潤傑氏は、金正哲氏が金庫番のみならず、国家保衛省(保衛省)の海外の反探(スパイ担当)組織でも大きな役割を果たしていると指摘している。次稿では、金正哲氏が与えられた意外な役割と金正男暗殺事件との関連性について見てみたい。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記