北朝鮮の核・ミサイル開発を警戒する米韓は、米軍の最新鋭高高度迎撃システム(THAAD 〈サード〉)の在韓米軍への配備を進めている。これに対し中国は、THAADは実質的に自国へ向けられたものであるとして反発。報復として、自国民の韓国ツアーを事実上、禁止した。韓中カーフェリー協会の資料によれば、この措置を受け、仁川と丹東を結ぶ航路の乗客も半分以下に減った。
今のところ船は運航を続けているが、もし航路が廃止されれば、宅配サービスは運賃の高い航空便か、遠回りになる別の航路の利用を強いられることになる。そうなれば、韓国製品好きの平壌の特権階級に少なからぬダメージを与えることになるだろう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。