貯水池は、中国との関係が悪化していた文化大革命の時代、金日成主席の指示で作られたものだ。万が一、中国が攻め込んできたら放水し、流域の町や村ごと水で押し流してしまおうという恐るべき計画だ。それを知っている中国は、自国側に被害が出ることを恐れ、北朝鮮に下手に手を出せないだろうと情報筋は述べた。
昨年来、中朝国境地帯では中国人民解放軍の新規配備、増派の噂が飛び交い、ネットを通じて北朝鮮にまで拡散している。中国政府は「デマだ」として打ち消しに乗り出したが、軍の動きについて一切明らかにしないため、地域住民の不安を消し去るには至っていない。
(参考記事:「中国軍が攻めてくるらしい」北朝鮮国民を包む不安)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。