彼は、脱北者に特例として認められている大学入学の優遇制度を使うことを拒否し、一般の学生同様に試験を受けて大学に行こうとしている。また、脱北者は義務ではない兵役も履行しようとしている。「軍隊に入って、完全な韓国の青年として生きたい」という思いからだ。
別の母親は、息子が学校で殴られ、鼻から血を流しながら帰宅したのを見て、学校に行って抗議しようとした。ところが、息子に止められた。「お母さんは興奮すると北朝鮮の訛りが出るから」というのがその理由だ。母親は、血で染まった息子の服を手洗いしつつ、涙を流したという。
北朝鮮の名門大学を卒業後に脱北し、ソウルの大学で博士課程を終えたパクさん(31歳)は、卒業を控えて就職活動を行った。どこの企業でも面接の際「ご気分を悪くされるかもしれませんが」と言われた上で、北朝鮮に残してきた家族のことを聞かれた。