「餓死者が発生する根本的な原因は、今年初めから住民の移動を厳重に禁じているために、食べ物が国内に行き渡っていないから。また昨年、電力不足のため農産物の脱穀が十分にできず、そのまま流通させてしまったことも一因になっている」
北朝鮮ではかつて、食べ物は国の配給システムにより、個々の国民にもたらされていた。しかし、現在ではこれが実質的に崩壊しており、人々は市場で商売を行うなどして現金収入を得て、食べ物を購入しなければならない。
ところが、都市部周辺にはこうした市場が数多くあるものの、山間部などの住民は当局の移動制限により、ここにアクセスすることができない。移動に必要な許可証(旅行証)を入手するには多額のワイロが必要だが、それを稼ぐ術もない。また、住民に購買力がないとあって、行商人さえ立ち寄ってくれないというわけだ。