北朝鮮の医療環境の劣化を窺い知るレポートもある。北朝鮮と国交のある英国外務省が一昨年7月に公開した「北朝鮮の医療施設と医師のリスト」は、北朝鮮の医療施設が劣悪で、衛生水準は基準以下だと指摘。病院には麻酔薬がない場合がしばしばあるため、北朝鮮での手術はできる限り避けることや、即時帰国するように勧告している。
実際、麻酔なしで手術を受けたことのある脱北者は、「メスを入れたお腹から伝わってくる痛みがどれだけひどいか。全身がぶるぶると震え、自分の血の匂いに吐き気がした」などと、その壮絶な体験について語っている。
(参考記事:北朝鮮の医療施設「麻酔なしで切開手術」の恐怖体験)医療崩壊という現実があるものの、北朝鮮の現場の医師たちは献身的に診療に携わってきたことは間違いないが、それも限界に来ているようだ。