離散家族は、主として朝鮮戦争により北朝鮮と韓国で生き別れになった人々で、その再会事業はきわめて重要な人道問題だ。しかし南北関係の悪化を受けて、2015年を最後に開かれていない。
韓国では北朝鮮との関係改善を目指す文在寅政権の誕生を受け、右派の自由韓国党を除く与野党が、今年8月に離散家族再会の実現を目指すことで合意している。北朝鮮が核開発やミサイル発射を繰り返す中でも、これならば国際世論に気兼ねすることなく、南北で接触を持つことができる。もしかしたらそれが、本格的な対話の糸口になるかもしれない――韓国側が抱いたであろうこのような淡い期待を、正恩氏はすかさず打ち砕いて見せたというわけだ。