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前述の女性のケースでは、キム少佐は彼女の夫からカネを受け取った後にも、拷問を続けたという。「誰にも言うな」と口止めするためだ。

北朝鮮でも、拷問や収賄は違法行為だ。また、前述の通り、金正恩氏は「人権侵害をするな」などと指示を出している。しかし同時に「国境地帯で中国キャリアの携帯電話を使い、国際電話をかけて摘発された者たちについては、主犯格を見つけ出し、拷問を加えて徹底的に痛めつけろ」との指示も出しており、これが悪用されているのだ。

キム少佐の夫は会寧市保衛局の政治部長だった。夫が2011年に亡くなってから、その遺志を継ぐために保衛省に入省したという。労働党と首領(金正恩氏)に忠誠を誓い、一度狙いを定めた獲物には、決して逃さない猛獣のような働きぶりで頭角を現し、清廉潔白な原則主義者として評価されているという。しかし、その裏の顔はサディスティックな守銭奴というわけだ。