親たちは、自分の子どもがバカにされるのではないかとおそれて、服と靴を買う。さらに、立派な弁当を作って教師に付け届けとして渡す。ある幹部は、弁当代やそれ以外の費用を合わせて10万北朝鮮ウォン(約1300円)を教師に渡したという。コメ20キロ分に相当する額だ。
幼稚園までもがカネまみれになったのは、国の配給システムの崩壊に原因がある。教師らは、国から受け取る給料だけでは生計を立てられないため、子どもの親からカネはもちろんのこと、コメ、塩、味噌、歯ブラシ、歯磨き粉とありとあらゆるものを受け取る。
一方、親の方は市場での商売など様々な経済活動を行わなければ生きていけないため、子どもを幼稚園に預けざるを得ない。そのため、教師からの要求に応じるしかないのだ。そして、教師の要求に応じなければ何をされるかわからないという恐怖心もある。