トランプ米大統領が今夜、日本の安倍晋三首相、そして中国の習近平国家主席と相次いで電話会談を行うとの情報が出ている。
ただ、朝鮮半島情勢を巡っては今月7日、一部の永田町関係者やマスコミ関係者、そして公安関係者の間で、「日本の大手メディアのワシントン支局が米当局から入手した情報では、米軍は9日にも北朝鮮の軍事施設を攻撃するかもしれない」との情報が出回ったことがあった。
北朝鮮に対する先制攻撃論は、オバマ政権時代にも米国内からすでに出ていただけに、簡単に聞き流すことのできない話だった。
(参考記事:米軍の「先制攻撃」を予言!? 金正恩氏が恐れる「影のCIA」報告書)しかし言うまでもなく、これは事実ではなかった。
どうやら米軍によるシリア攻撃を受けて語られた「事情通の見解」が、ぐるぐる回るうちに「関係者情報」に化け、さらに尾ひれ背びれが付いて、まことしやかに語られていたようだ。あるいは、米軍が8日に発表した「空母カール・ビンソン急派」の情報が事前に漏れ、誤って伝えられたのかもしれない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面だから、電話会談が行われるかどうかも、まだ100パーセント確実とは言い切れない。
しかしいま、北朝鮮と米国が近年にない緊張状態にあるのは確かだ。
いきなり攻撃開始ということはないだろうが、大金を使って空母打撃群を送るだけに、北朝鮮に対する圧力効果を最大化するため、日中首脳との電話会談でひとつ爆弾発言をかぶせてやろう――トランプ氏が、考えそうなことではある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面いずれにしても、電話会談が行われたならその内容を、行われなければ今回の情報の発生経緯について、改めて取材・分析してみたいと思う。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。