パクさんは悩んだ。北朝鮮に家族が残っているのに、テレビで顔をさらしても大丈夫だろうか。しかし結局、忘れられない収容所の実態が出演を後押しした。
「『移住民』と『解除民』が完全に隔離され、私が収容所を離れた頃には、それ以前にも増して殺伐とした雰囲気になっていました。『移住民』の住む村は電気鉄条網で覆われ、大同江の対岸にある14号管理所と共に、一度入ったら生きて出られない場所になっていました。今この瞬間にも子供たちは殴られ、働かされているでしょう」
(参考記事:公開処刑を「見学」に行かされる北朝鮮の小学生たち)パクさんは韓国で結婚し、子育てを行う中で韓国社会を理解し始めると同時に、北朝鮮社会にはびこる人権侵害のひどさを再確認した。
(参考記事:脱北女性、北朝鮮軍隊内の性的暴力を暴露「人権侵害と気づかない」)「嘘や大げさなことは言わない。本名と顔を明かして証言する」。出演を決めた際に自らに課したルールだ。