私的医療行為の禁止は、患者のみならず、医師にとっても死活問題だ。国営病院から受け取る給料は、5000北朝鮮ウォン(約65円)前後で、コメ1キロを買うのがやっとだ。患者からワイロを受け取ったり、私的医療行為を行って報酬を受け取ったりしなければ、そもそも生きていけないのだ。
非現実的な私的医療行為禁止令は、長続きしないことは火を見るより明らかだ。また、著しい少子化も、社会そのものが変わらない限り、改善することはないだろう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。