北朝鮮にも中国にも脱北ブローカーの組織があり、ブローカーは市場に行って脱北したい人はいないか聞いて回る。そういう情報は商人から聞き出す。脱北希望者を数人集めた上で、国境沿いの会寧(フェリョン)のはずれの村から、あらかじめ買収しておいた国境警備隊の軍人の手招きで国境の川を渡る。
中国側の組織から連絡が来れば、女性たちをバスに乗せて客のもとまで連れていく。そうして売った女性は4〜50人。幸せに暮らしている人もいるが、ほとんどが奴隷のように働かされ、暴力を受けている。彼女たちはそんな中でも少ない小遣いを貯金して、北朝鮮に残してきた家族に送金する。家族を食べさせるのが彼女たちの目的だからだ――。