冒頭で触れたニューヨークタイムズの記事によれば、米国のオバマ前政権はサイバー攻撃を駆使し、北朝鮮の弾道ミサイルを無能力化する取り組みに途中まで成功したという。しかし、結果的には失敗した。外科的な方法で北朝鮮の核・ミサイル開発を挫く余地は、ほとんどなくなっているのだ。
残された方法は、北朝鮮の体制を変更するということだ。それも内部からの変化によってである。そのように言うことができるのは、文字通り命がけで外国の情報と接しつつ、北朝鮮国民がその内面で起こしている自由への意識の変化が、近年の北朝鮮情勢における(我々の側にとっての)唯一肯定的な変化だからだ。
そのために、関係各国にできることはたくさんある。たとえば、中国当局が北朝鮮に協力し、脱北者を強制送還するのを止めさせることだ。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)それをするだけで、北朝鮮国民と外部世界との接点が増えて、北朝鮮国内の変化を誘う余地も大きくなる。