国論が完全に分断された状況下で、韓国の政治が戦争を、それも核戦争を想定することなどとうてい不可能だ。
ここで認識しておくべきなのは、われわれが暮らす民主主義国家と、北朝鮮のような独裁国家の違いである。韓国に戦術核兵器を配備しよう、などという計画が動き出したら、多くの人々が激しく反発し、大規模なデモで社会が騒然とするかもしれない。
方や、金正恩党委員長が「より強力な核兵器で対抗しよう」と主張しても、北朝鮮国内では反発も起きなければデモも起きない。そんなことをすれば、秘密警察や軍に殺されるか政治犯収容所で虐待を受けるかのどちらかだ。
(参考記事:「幹部は私の腹にノコギリを当て切り裂いた」脱北女性、衝撃の証言)独裁国家は民主主義国家と異なり、国民の合意など必要とせず独裁者のトップダウンで動くから、より極端な行動に出るのが容易なのである。ということは、破滅的な「核の先制パンチ」を繰り出すのも、独裁国家である可能性が高くなる。