一般的には、他国の侵略やクーデターによって自国の政治から排除された旧政府メンバーや国民が、外国に脱出してその地で作る仮の政府組織を言う。今回のケースでは、北朝鮮の金正恩体制への対抗勢力を組織することを目的に、脱北者の求心力となる組織を作ろうということだろう。
北朝鮮が、本当に亡命政府への警戒から正男氏を殺害したのだとしたら、「喜び組」など体制の恥部を暴露したことに対する報復として実行された20年前のロイヤルファミリー暗殺とは、だいぶ性格を異にしていることになる。
(参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖)筆者がこうした脱北者による亡命政府構想を初めて耳にしたのは、2013年の夏ごろのことだったと思う。すでに国旗の案もあり、元北朝鮮官僚を当てた主要な「閣僚」名簿も見たかもしれない。