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VXはサリンの100倍もの毒性があると言うから、これが正男氏殺害に使用されたと見る向きは多くなかった。実行犯とされるベトナム国籍の女性らが、素手に塗り付けて使用したと供述しているためだ。VXは皮膚からも吸収されるため、女性たちも死んでしまう可能性があった。また、VXが気化して空気中に広まれば、周囲の人々も死んでしまっただろう。

ただ、「VXを薄めて使用した可能性は否定できない」とコメントしている専門家もいる。国家的な関与の疑われている北朝鮮が、そうした技術を開発したということなのだろうか。

一方、韓国の拉致被害者家族でつくる「拉北者家族会」の崔成龍(チェ・ソンヨン)代表は23日、北朝鮮の情報機関に近い消息筋の話として、同国の朝鮮人民軍第810軍部隊の傘下にある「生物技術研究院」に2014年12月、正男氏殺害の指示が出ていたと明かした。真偽はわからないが、気になる話だ。